匠の耳かきー 匠の手作り耳かきのご紹介 煤竹の持つしなりと職人の技が光る手作り耳掻き

匠の耳かきのご紹介

「しなり」「薄い」「丁寧」そして「遊び心」

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シンプルな普通型でも1日に作るのは、数本程度。それでも匠の耳かきのファンは多く、数ヶ月待ちでも注文が入るという。リピーターの方も多く、贈答品としても重宝されている。

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手作りの布製専用ケースいろいろな柄の専用ケース


 耳かきという道具は、誰もがお世話になっている。
目立たないけれど生活するうえで必要な道具である。
しかし、そのわりには日陰者の存在で、引出しの片隅に追いやられていたり、ペン立ての中にボールペンと一緒に無造作に突っ込まれていたり…。
そんな耳かきにスポットライトを当ててみようと考えたのが耳かき職人 加藤惠一だった。

”しなる” ”薄く” ”なめらかに”

ph022.jpg匠の耳かきの基本形は、長さ約10cmのスリムな扇形をしている。素材は煤竹(すすだけ)だ。先端の最も幅が狭くなっている部分は、幅1mm。さじの部分の竹の厚みは、わずか0.3mm〜0.5mm と薄く仕上げている。
この”薄さ”が耳あかに食いついて、しっかりとらえてくれる。
耳かきの先端部この”しなり”が心地よいそして竹の感触が耳にやさしい。さらに”しなり”が、ほどよいクッションになっていて気持ちがいい。そして職人技がつくり出すなめらかな仕上げが肌に心地よく痛くない。
「人に優しく、耳あかに厳しく」匠の耳かきのモットーである。


こだわり素材からうまれる一品

ph032.jpgさじの部分は煤竹(すすだけ)を用いている。茅葺き屋根のいろりの煙で100年以上いぶされた茶褐色の見事な色つやと優れたしなりを兼ね備えた銘竹である。
また煤竹に近いしなりをもつべっ甲をさじ部分に使用したものもある。
鞘やケース・スタンドなどは、黒柿(くろかき)、黒檀(こくたん)、紫檀(したん)、鉄刀木(たがやさん)などの銘木を使用している。磨く事で独特の光沢と木目をかもし出してくれる。装飾として象牙やべっ甲も使っている。

いくつもの工程を丁寧に仕上げるからこそ…

ph041.jpg乾燥十分の煤竹の濃淡が作る美しい模様を見て、完成形を夢想しつつ形を近づけていく。勘に頼りながら刃で薄く削っていく。形が整ったら先端を一晩水に浸し、火に当てて曲げる。「当てすぎると焦げるし、弱いと曲がらない」という繊細な作業を経ると、きれいな曲線があらわれる。グラインダーで整形をしてから、仕上げに数種類のサンドペーパーをかける。最後に布で磨き上げて艶を出す。塗料は塗らずに素材そのもので勝負をする。銘竹と職人技からうまれる耳かきが完成する。

先端の3cmが道具で、それ以外は遊び心

道具として耳かきは先端の3cmが重要で、この部分の作業が最も気を使う。
どんなにいい耳かきだと思っても、使う人の耳あかが取れなくては意味がない。
そんな道具としてのこだわり以上に大切にしているのが”遊び心”である。ph051.jpg
持ち手の部分の形状を変えてみたり、装飾を施したもの。耳かきを鞘に収納したり、ケースをつけたものは携帯にも便利である。さらに台座を付けて耳かきをディスプレーするタイプもある。まさに表舞台の飾れる耳かきといえる。
また様々なアンティークや工芸品をケースや装飾の一部として使用しているものもあり、どれも匠の遊び心満載だ。
普通型の耳かきも携帯できるように手作りの布製専用ケースもある。シンプルな形状だが、さじ部分がしっかりと保護される構造になっている。

使いやすい道具として、愛着を持てる一品として、匠の耳かきは耳そうじをさらにワンランク上の楽しみにしてくれるアイテムといえよう。